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洗足

公開日: : 最終更新日:2015/12/14 雑記

ここのところまた、よく歩いている。

 

一刻ほど目的地も決めず彷徨い、一刻ほど喫茶店で仕事し、また行き先を定めないままふらりと足を進める。

頭と身体を平等に動かして血の巡りがよくなるためか、一箇所にじっとしているよりかえって終日調子が良い。

 

ある日図らずも、広大な水面にたどり着いた。

どうやらかの有名な『洗足池』がここらしい。

 

image

 

水は透明度が高く、過剰なまでに鯉の群れがうねり、傍を泳ぐ水鳥の胴体はやたらと丸い。

よほど栄養状態がいいのだろう。まさしく都会のオアシスといったところか。

 

興味を惹かれ、なんともなしに沿道を一周してみる。

 

大通りから左回りに路地を選ぶと、紅葉の合間に控えめな寺門が見えてきた。

石畳に導かれるまま、奥へと進む。

 

IMG_1738.JPG

 

妙福寺 袈裟掛けの松。

 

どうやらここは、かつて日蓮上人が旅の途中で立ち寄った場所として伝承されているらしい。

日蓮上人はこの松に袈裟を掛け、池で足を洗い休息した。

 

だから、ここが以後『洗足池』と呼ばれるようなったとのこと。

 

なるほど、言われて思い返せば池は『洗足』なのに、一帯の住所は『千束』と書かれていた。

洒落がそのまま時を経て駅名にまで残った、ということか。

疑問を疑問と気付かないまま雑学に至ってしまったことをほんのりと恥じ、再び辺りを歩き始める。

 

IMG_1748.JPG

 

すると今度は、馬を祀った神社にたどり着いた。

 

名を池月といい、源頼朝にこの地で見いだされた稀代の優駿であったとの碑。

 

「あてどない散歩で、伝説の名馬と出会えるなんて有り難い。たっぷり拝んでおこう」

 

競馬を愛して止まない私はそれなりに賽銭を奮発した。

 

「池月さま。どうかよき馬とよきご縁がありますように」

 

これにて前途洋々とほくそ笑み、池の残り半周を歩ききって次なる仕事場を探す旅に戻る。

 

その夜、夢に先の池月様が現れ、私の枕元に立った。

 

まさか呼びかけに答えて頂けるとは。もはや来年のG1は総取りしたも同然。

含み笑いを隠しきれずにいると、池月様はいちどぶるんと鼻を鳴らしてから、溜息交じりに語り始めた。

 

「眼の前にあれほど大きな『足を洗う』池があったというのに、お前の頭の中は相変わらず馬のことばかり。救いようがない。神頼み、馬頼みもほどほどに、毎日地道に働くことを大事とせよ」

 

それだけ言い残し、池月様は踵を返して夢靄の向こうへ帰っていった。

 

鞍上には、横山典弘騎手が跨がっていた。

 

IMG_1749.JPG

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